日本サッカーの守備の誤解

「日本サッカーの新たな守備文化の醸成を目指して」
前半15分、後半残り15分に失点をしないこと重要性はしばしば指摘される。しかしサッカー日本代表の歴史を振り返ったとき、この大事な時間帯に失点を繰り返してきたのも事実だ。 
我々は「ドーハの悲劇」を経験し、「ロストフの14秒」を目撃した。避けなければならない失点を、最も気を付けなければならない時間帯にしてしまう。日本サッカーのさらなる発展のために、鉄壁の守備を築き上げることはできないだろうか?
そのためにまずは、日本サッカーにおいて新たな守備文化を醸成する必要がある。
 
「子どもの頃から存在するある誤解」
30年以上前から日本サッカーにはびこるある誤解が存在し、それは今日のサッカー中継等の解説を聞いていると、未だ変わらず残っていることがうかがわれる。それは「守備とは相手からボールを奪うことである」という誤解である。守備とはブロックを組むことであり、プレスをかけてボールを奪いに行くことは別のプレイなのだ。
 
 「守備≠プレス」
とんちのように思われるかもしれないが端的に言って、キーパーが常にしていることが守備の典型であって、プレスをかけにゴール前から飛び出すことは非常手段だ。攻撃側プレイヤーと1対1で対峙した場合の例外的プレイなのだ。守備とプレスとは、一連・一体的に行われることがよくあるが、プレイとしては別ものだ。
 
「誤解がひき起す混乱」
コーチが子供たちに向かって「守備をしよう!」と声をかけた場合、それを聞いた未熟なプレイヤーははたして前進すべきだろうか、逆に後退するべきだろうか。積極的プレスをかけるべきか、ゴール前で堅固なブロックを組むべきだろうか。もしかしたらこのような混乱はプロサッカーの世界でもあるのだろうか。一部のプレイヤーは積極的プレスに行き、別のプレイヤーはオフサイドラインを深く維持しようとする。それぞれが子供のころに受けた指導に従って・・・。
 
「ささいでない誤解」
我々が見逃してきた「守備とはボールを奪うことである」という誤解は、実は重大な過ちなのではないだろうか。日本サッカーの新たな守備文化の醸成を目指すとき、大きな障害となり続けることを危惧する。
詳細は「サッカーの基礎理論」を゙参照。