サッカーの基礎理論

サッカーの基礎理論~~経験知の言語化の試み~~
 
プロローグ
サッカーにおける経験を一般化して説明することは難しい。あらゆる場面を想定して効果的なプレイを指示することはできない。しかしあえて理論化することできれば、未経験の場面に遭遇したプレイヤーが、自力で考えて合理的なプレイの選択がしやすくる。
原理は単純である。身長・体重、身体能力が同じ、サッカー技能、経験も同じである、22人のプレイヤーがサッカーをした場合を仮定する。そのあり得ない仮定の下、いかなるプレイ選択が合理的であるのか、考察を試みる。単純な仮定の下に、サッカーの基礎理論の一般化を試みる。
 
 
例題)自陣ゴール前でのクリアーとは、理論上、正しいプレイはどれか?
①より遠くに蹴る
②より外に蹴る
③より素早く近くの味方にパスする
④①~③のプレイすべて
 
正解)②
経験値で判断すると、④が正解のように感じると思われる。実践の場面では、①~③のすべてをゴール前での危険回避の手段として体験するからである。しかし、理論上、①は必ずしもクリアとはならない。例えば、50メートルの距離をワンステップで蹴り出したとしても、同等以上のキック力を持つ敵がそこに待ち構えていれば、反発力を利用して、50メートル以上の距離を蹴り返すことができるからだ。自分のクリアできる距離は、相手にとっても蹴り返せる距離と考えられる。よって依然、必ずしも危険回避されているとは言い切れない。実際クリアーしたつもりが、敵にとっては十分なシュートレンジで失点をするのを見かける。
③はパスを受けた味方が、その後パスやクリアすることを期待したプレイで、クリアそのものではない。よって②が正解となる。