気分de迷著⑦

昔のサッカー(トータルフットボール誕生より前)では、守備の人と攻撃の人で役割が決まっていて攻守どちらかをそれぞれが担当していた。今日のゲームは何人で守って、何人で攻めるかということが作戦であり、いかに守備の人を引っ張り出すかが戦術の要だった。フリーキックの直後など例外的に人が入れ替わることはあっても、原則は役割分担があった。そこでは古典的意味でスペースの概念は守備の人の不在である。

この古典的意味でのスペースをマクロ的スペースとして説明がなされる。そして今日においても、いかにゴールに近い位置でマクロ的スペースを創り出せるかが戦術の重要な要素である、と言う。

 

 

【 スペースをカガクする①“スペース”を活かす】


マクロ的(クラシカルな意味での)スペースとは、例えば4-4-2の同型フォーメイションで向かい合った場合、互いの両サイドバックが相手の空白地帯に陣取ることになる。この時の両サイドバックのポジションがスペースである。このケースで極端に単純化すれば、ボールポゼッションするチームの右サイドバックが相手の左サイドハーフをおびき出し、フリーとなった味方の右サイドハーフにパスする。さらにボールを受けた右サイドハーフが相手左サイドバックを引き付けると、この左サイドバックが元々いたポジションがスペースとなる。瞬間的に最終ラインに生まれたスペースを上手く活用できれば、ディフェンスラインの突破あるいはアタッキングサードでのシュートチャンスが得られる。

ボールをポゼッションをする目的は時間を稼いだりゲームのリズムを作り出したりいくつか考えられるが、究極的にはアタッキングサードでフリーのボールホルダーにプレイさせることにある。スペースをずらしていくことによって、アタッキングサードに意図的にスペースを生み出すのだ。ゾーンディフェンスでブロックを組みながらそれぞれのプレイヤーの担当エリアを死守しようとする相手にに対して、オフェンスはスペースを有効利用しながらボールポゼッションをする。相手をおびき出して、その背後のスペースを狙う。あるいは攻撃してくる相手のボールを奪い取り、守備ブロックの整う一瞬前にカウンターアタックを仕掛ける。最終ラインに意図的ないし偶発的に生まれるスペースまたはオフサイドゾーンをタイミング良く活用するのだ。攻撃の究極的狙いはディフェンスラインの背後のスペースにボールホルダーを送り込みゴールチャンス創り出すことだ。