気分de迷著⑦

昔のサッカー(トータルフットボール誕生より前)では、守備の人と攻撃の人で役割が決まっていて攻守どちらかをそれぞれが担当していた。今日のゲームは何人で守って、何人で攻めるかということが作戦であり、いかに守備の人を引っ張り出すかが戦術の要だっ…

気分de迷著⑥

ドリブルであってもパスであっても、その目的を意識してゲームの流れの中で適切な選択をするべきだと著者は言う。パスというだけあって、つながるかどうかに関心が向かいがちだが、無目的なパスが何本つながったとしてもサッカーにはならない。ゲームを組み…

気分de迷著⑤

パスを本当に分類できるの? 最後の三行が肝かな。 【パスの区別】 ①レシーヴァーの足元へ②レシーヴァーの走りこむスペースへ a)仕掛けるb)つなぐ (例) ①-a) フォワードへの楔のパス -b) キーパーへのバックパス ②-a) マンツーマンマークされ…

気分de迷著④

ゴールを目指して行うプレイ、またはその準備まで含めてすべて攻撃であると著者は言う。それからドリブルを目的によって分類する、①仕掛ける②運ぶ③停止する。ゲーム中はターノーヴァーに注目しがちになるが、たとえ失敗してボールを奪われたとしても、それが…

気分de迷著③

ここでは守備の具体的方法が述べられるが、サッカープレイヤーが実践において感覚的にやっていることをあえて言語化しているのだ。知識として持っていて実際のプレイとして実行してはいるけど、それを言葉で説明するとなると多くの人にとって難しいことだろ…

気分de迷著②

この章では守備は個人の能力を超えて、チーム(組織)の力でさらに大きな成果を発揮できることに言及される。1対1の体力・技術に相手と差がある場合でも、チームで連携して対処することで個人の守備力も増大させることができることが語られる。 組織的守備を…

背後の断崖絶壁

以前一部指摘したことがあるけど、ディフェンダーの危険なポジショニングの怖い話である。 優秀なフォワードなら必ずオフサイドラインのウラを常に狙っている。いわゆるディフェンスラインのギャップ(凹凸)を見つけたときは、ディフェンダーの背後に飛び込…

気分de迷著①

著者はいきなり日本サッカー界の長年の常識に異議を唱える。「守備とはボールを奪うことではなく、正しいポジションで待ち構えることである」という持論を展開する。守備の目的は相手プレイヤーからボールを奪うことでなく、ゴールへ近づけないようにするこ…

気分de迷著0

このシリーズでは迷著『サッカーの基礎理論』を著者自身が読み解いていく。「これで十分に表現を尽くした」と思うから書き終えた文章なのだが、あえて読み返すつもりで要約を試みる。理解のしやすさを求めて真実から遠ざかってしまっては元も子もないので、…

合目的性と非合目的性

『合理性と遊戯性』を書いていて思ったのだけれども、本当に読んでいただきたいのは『サッカーの基礎理論』で、その他の論考はこのブログの本旨からいうと枝葉みたいなものなんだけれど、サッカー人のものの見方というか特殊な見え方みたいなものに気づいた…

合理性と遊戯性

無駄を省くのか、‘’ちゃぶる‘’のか。シュートまでの過程をなるべく少なくするのか、逆に遊ぶのか。シンプルさと読まれにくさ。タテとヨコのダイナミズムの渦の中で、熱く鋭さを追求するのか、冷静に技術を究めるのか。ディフェンスラインのウラを狙うか、目…

パワープレイ便り

昔、西ドイツがゲームの終盤に、大型のプレイヤーを前線で駆使しながらロングボールを配給し、ゴール前での空中戦に持ち込む。狭いエリアでの激しい肉弾戦は数々の逆転劇を生み、その諦めの悪さをゲルマン魂と称賛されていた。細かい規則性によってというよ…

教科書的ボール奪取

ゴール方向へとドリブルで進むオフェンスプレイヤーを追い駆けてボールを奪取する、プレイの教科書的な解説をする。 まず並走できるスピードと位置までドリブラーに追い付かなければならないが、ドリブルと素走りでは後者の方が一般的には有利なので、なるべ…

高校サッカーとフィジカル

ここでは何かの論争に結着をつけようということではなく、論点整理のようなもの。簡単に言えば、高校サッカーにはどの程度のフィジカルトレーニングが必要か、ということ。実際には個人差が大きいことなので、それぞれのプレイヤーが判断することなので、確…

年のはじめに

分ると変わる わからないならかわらない わからないからかえられない わかっていてもかえられない わかっているならかえてみる わかるからこそかえられる (せっかく人は老いるのだから、) 気づきあかるい明日を築こう!

絶対領域以上犯罪領域未満の際の際⑤神の手

かの天才サッカー選手、マラドーナの‘’神の手‘’の話である。 ’86年W杯メキシコ準決勝での出来事である。前半はイングランドの激しいマークに苦労して、思うようなプレイをさせてもらえなかったが、それでも彼はいくらか天才の片鱗は見せていた。後半に入って…

珍ルールの備忘録

ルールにはあるけれど、それが実際に適用されたのを見たことがないルールがある。そのルールの存在は知ってはいたけれども、現実にその状況が起こったことを見たことも聞いたこともないものがある。 それはスローインから直接ゴールインするケースである。(…

ボールにメッセージとはこれ如何に

「ボールにメッセージのあるパスをY選手は出す」とよく言うけれど具体的にはどういうことか解説してみる。(まさかボールの表面にマジックペンでメモを書くわけではない。) 中盤で10数メートルの距離で、パスを通すだけの目的にしては必要以上に強いグラウ…

センターリング

最近ではあまり聞かなくなった単語の一つだが、ここではあえてセンターリングを使用する。センターリングはサイドアタックによってディフェンスラインを押し下げ、ゴール付近に侵入可能となったストライカーへ外から中へ・サイドからセンターへパスを送って…

Defense≠Pressと守備≠球奪取

今週のお題「マイ流行語」 一年前から日本サッカー界で流行らせようと考えてキャンペーンをしています。私のブログで繰り返し展開しているテーマなのですが、「守備はボール奪取することではない」ということです。サッカーにおいて、守備は守備、戦術的ボー…

守備を巡る物語

ある日の試合で、丁君と乙君と甲君が守備をした。 丁君がボールへの強い執着心を見せ、持ち前の集中力と反射神経の良さを発揮して相手のボールを見事に奪った。 皆が言った。 「ボールを奪い取る丁君の守備は素晴らしい」 しかしコーチは言った。 「ボールを…

絶対領域以上犯罪領域未満の際の際④削ル

魑魅魍魎跋扈する。 蟹挟/Killer Sliding Tackle/踵踏ミ/踏付ケ/Toe Kick/momokan/ Flying Scissor Takedown/谷落/ガブリ寄リ/Hip Attack/Elbow/突キ/Punch/ 肘鉄/Karate Chop/Karate Kick/Lariat/喉輪/体当タリ/吊リ落トシ/Delayed Tac…

パスを受ける

ずぶのずぶの素人に向けてパスを受けられる仕組みについて説明する。これは本来言葉で表すようなことではなく、「習うより慣れろ」の次元のことであるが、サッカー未経験の人のためにあえてしてみる。 なぜ動き続ける受け手にボールをパスすることができるの…

絶対領域以上犯罪領域未満の際の際③サッカーと暴力

もちろん暴力は犯罪です。しかしコンタクトスポーツであるサッカーの特性として、ルールで許された範囲を超えた暴力を目にすることがある。足を蹴ったり踏んだりするのは故意か偶発事故か見分けがつかないことがよくあるけれど、頭突きや嚙みつきなど日常生…

30年来の誤謬

30年より前から今日まで日本サッカー界にはびこる誤謬が存在する。それは「守備とはボール奪取である」というものである。ディフェンスとプレスは全く違った概念の単語として捉えるべきだというのがここでの主張だ。というのも、キーパーは自ら積極的にプレ…

ヘディング

ヘディングといっても頭突きの件ではない。それはまた別の機会にする。 ヘディングというあまりにも基本的な技術のことなので、本来言葉にするようなものではなく「習うより慣れろ」の次元の話だと思う。しかしせっかくなのでいくらか指摘する。 まず基本動…

絶対領域以上犯罪領域未満の際の際②プロフェッショナルファウル

偉大な、惜しまれた監督も言及していたことがあったが、「効果的なファウル」というものがある。意図的だったり不可抗力が働くこともあるがファウルによって相手の攻撃の芽を摘むことである。感情的にカッとなって荒々しい振る舞いによるのでなく、冷徹に時…

サイドチェンジの効用(2023年秋)

『天使のシュートと悪魔のパス』の中で、パスには一本一本それぞれに価値があることに言及した。プラスの価値のパスもあればマイナスのもあり、一連のものが積み重なって得点なり失点なりにつながると考えられる。そこでは特にタテパスの重要性を強調するこ…

絶対領域以上犯罪領域未満の際の際①偽ジャッジ

先ほどラグビーワールドカップフランス大会において、日本vsイングランド戦で起きた珍事がマスコミでも話題になった。ラグビーの規則ではボールを前方へと投げてはならず、前には手からこぼしても弾くことも許されない。試合後半、イングランド選手が側方…

マンツーマンディフェンスは戦術か否か推敲する

エリアに拘泥せずディフェンダーが一人の相手プレイヤーをマークし続けることをマンツーマンディフェンスと言う。 『基礎理論』の中でマンツーマンディフェンスについては一度も言及しておらず、隔靴搔痒の感を抱かれる方もいるかもしれない。理由は単純で、…