得点のケーススタディー①天才ストライカーの考えるヒント

自陣でボールポゼッションをし始めて、まだ3~4本のパスを通してもプレスがかかりにくい状況が生じた。

その時センターフォワードが、ハーフウェイ付近から自陣のゴール方向へ、とぼとぼと歩き出した。小股でとぼとぼと、しかも下を向いて。何らかのアクション起こせばチャンスが訪れるかもしれない時に、足を負傷して、歩きながら具合を確かめているようだった。

しかし10歩程進んだところで、彼が急に振り返った。誰かにふいに呼び止められたかのように背後を見回した。彼はその瞬間、自分をマークしていたディフェンダーが付いて来ていないことが分かり、どこにいるのか確認していたのだ。

彼は体を反転させ、小走りに、ディフェンダーからさらに逃げるようにハーフウェイラインの方へ向かった。この時すでに勝負は決していた。

裏をかかれたディフェンダーは完全に置いてけぼりをくい、猛然とオフサイドゾーンへと飛び込むセンターフォワードを見送るしかなかった。

「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」彼はウラのスペースを指差しながら味方にパスを要求した。

その瞬間、フリーでディフェンスラインの背後へと走り出している彼めがけて、ロングフィードのボールが放たれた。

彼の足元へボールが収まった時には、彼の前にはキーパー1人しか残っていなかった。そして彼はこの1対1のチャンスを見事にものにして得点を奪った。