得点のケーススタディー③外回しからのニアサイド

3ー4ー2ー1のいわゆるクリスマスツリー型のシステムだった。中盤でワイドに攻撃の起点を創れるところに特徴がある。

相手陣高いポジションで、左サイドハーフがボールを受けた。左のシャドウ(セカンドトップ)がボールを受けにボールホルダーのサポートに寄る。これに右サイドのセンターバックが反応する。このときワントップが右センターバックの背後のスペースでパスを受けるため動き出した。いわゆるポケットと呼ばれるエリアへ、ワントップは内から外へ流れ、ボールは外から内へと供給される。

センターバックがこの動きに反応し追いかけるのだが、わずかな差でトップがボールに先に追い着き、体をひねってダイレクトで中央に折り返しのパスを出した。左センターバックのスライディングする足先をかすめて、低い一直線のボールがゴール前へと飛んで行った。ボールが一つ目のポストを横切った瞬間、ボランチの選手がディフェンダーとともに体ごとゴールへなだれ込んだ。ボランチ選手の右足に当たったボールはゴールネットへ突き刺さった。

この攻撃は、タイミングさえ合えば、ディフェンダーが阻止することはかなり難しい。アウトサイドの起点からポケットにボールが送られてからの流れるような一連のプレイは、走る速度が同等であれば、ディフェンダーがパスカットを狙えるポイントがない。動き出しは必ずアタッカーが先行するので、先回りすることは困難を極める。ディフェンダーができることは、折り返しのパスの角度をなるべく消し、シュートの際に体を密着させミスを誘うことくらいだろう。