気分de迷著0

このシリーズでは迷著『サッカーの基礎理論』を著者自身が読み解いていく。「これで十分に表現を尽くした」と思うから書き終えた文章なのだが、あえて読み返すつもりで要約を試みる。理解のしやすさを求めて真実から遠ざかってしまっては元も子もないので、原著を読んでいただくことを前提に説明や補足をしてみたい。

 

まずサッカーという競技において、各プレイヤーがどういう原理原則に従って動くのか、言葉で表現すること目指すことが宣言される。そのときにあたかもビデオゲームのプログラミングをするように、それぞれのプレイヤーの移動するべき位置やなされるべきプレイ選択を設定する。この設定を言葉で説明しようとするのが本著作の主たる目的となっている。さらにこの設定において、ゲームの特性をわかりやすくするために、すべてのプレイヤーは同一人物という架空の条件が付けられる。そうしてサッカーの一般論(「一般的には子いう場面ではこうするべきだよね」というルール・法則)が作れるはずだと著者は主張する。

次に例として「クリアー」といったらどうするか人によって微妙に違うけど、「クリアー」は「より外側にけり出せ」という意味で使う言葉だと指摘する。

 

 
【サッカーの基礎理論~~経験知の言語化の試み~~】
 
プロローグ
サッカーにおける経験を一般化して説明することは難しい。あらゆる場面を想定して効果的なプレイを指示することはできない。しかしあえて理論化することできれば、未経験の場面に遭遇したプレイヤーが、自力で考えて合理的なプレイの選択がしやすくる。
原理は単純である。身長・体重、身体能力が同じ、サッカー技能、経験も同じである、22人のプレイヤーがサッカーをした場合を仮定する。そのあり得ない仮定の下、いかなるプレイ選択が合理的であるのか、考察を試みる。単純な仮定の下に、サッカーの基礎理論の一般化を試みる。
 
 
例題)自陣ゴール前でのクリアーとは、理論上、正しいプレイはどれか?
①より遠くに蹴る
②より外に蹴る
③より素早く近くの味方にパスする
④①~③のプレイすべて
 
正解)②
経験値で判断すると、④が正解のように感じると思われる。実践の場面では、①~③のすべてをゴール前での危険回避の手段として体験するからである。しかし理論上、①は必ずしもクリアとはならない。例えば50メートルの距離をワンステップで蹴り出したとしても、同等以上のキック力を持つ敵がそこに待ち構えていれば、反発力を利用して50メートル以上の距離を蹴り返すことができるからだ。自分のクリアできる距離は、相手にとっても蹴り返せる距離と考えられる。よって依然、必ずしも危険回避されているとは言い切れない。実際クリアーしたつもりが、敵にとっては十分なシュートレンジで失点をするのを見かける。
③はパスを受けた味方がその後パスやクリアすることを期待したプレイで、クリアそのものではない。よって②が正解となる。