絶対領域以上犯罪領域未満の際の際①偽ジャッジ

先ほどラグビーワールドカップフランス大会において、日本vsイングランド戦で起きた珍事がマスコミでも話題になった。ラグビーの規則ではボールを前方へと投げてはならず、前には手からこぼしても弾くことも許されない。試合後半、イングランド選手が側方にはね上げたボールが隣の味方選手に当たって前方へ飛んで行った。日本選手たちの目にはノックオンの反則があったように映った。皆の足が止まりプレイが中断した瞬間審判の声が発せられた。「プレイオン」反則を知らせる笛は鳴らなかった。転々とするボールを近くを走っていたイングランド選手が拾い上げ、独走で悠々とトライを奪った。ノックオンに思われたプレイは実は、選手の振り上げた手にではなく額に当たったボールが前方へ弾き飛んだのだ。一連の流れはヴィデオ判定により確認されトライが成立した。

閑話休題、サイドをドリブルで突進するフォワードが並走するディフェンダー接触し、つんのめって頭から芝の上を滑るように転んだ。ディフェンダー達はその派手なヘッドスライディングを見て、危険なエリアでのファウルを疑った。正当なショルダーチャージでノーファウルをアピールしようと、数人のプレイヤーがレフリーに向かって声を上げた。接触した当のディフェンダーは振り返って身振りを手振りでレフリーに抗議した。しかし実際にはホイッスルは鳴らなかった。ピッチに腹ばいで倒れたプレイヤーは間髪を入れず立ち上がり、前方を転がるボールを追い駆けた。この瞬間立ち止まったデイフェンダーフォワードの距離は5メートル程に開いていた。素早くボールを回収したドリブラーは、結果的にサイドアタックに成功し最終ラインをすでに突破していた。

中央で待ち構えていたストライカーは一連の流れに上手く反応してフリーになった。サイドでフリーのドリブラーと中央でフリーのストライカー、クロスを合わせてゴールを決めることは簡単だった。一度足を止めたディフェンダー達が慌てて再び走り出したが後の祭りだった。

子供時分に耳にたこができるくらい聞かされたものだが、自分勝手に判断してプレイを止めてはならない。レフリーが間違えることだってあるのだから、ホイッスルが鳴るまでプレイを続けなければならない。昔、ドリブルをしていたプレイヤーがディフェンダーの目の前で突然立ち止まり、ファウルの判定に抗議をするかのようなジェスチャーをしてボールを拾い上げようとした。ディフェンダーはホイッスルの音は聞こえなかったが、何のファウルがあったのか確認しようとレフリーの方へ顔を向けた。その瞬間ドリブルを再開したプレイヤーはディフェンダーをあっさりとかわし置き去りにした。審判を欺く行為は反則だが、相手を騙すのは対戦型のスポーツでは当たり前のことである。